家族でピクニックに行った時。
バドミントンや野球の道具を持ち出して、あまり人がいない公園に行って。
朝から一緒に弁当を作って。車の中でも、楽しく会話して。
そんな、宝物のような記憶。
そんな記憶が、うちの今の体にある。
僕の体にそんな記憶はない。彼奴らは家族なんかじゃない。
ただ同居してるだけの他人。血も繋がっているだなんて絶対に考えたくないし信じたくない。
子供の目の前で喧嘩して。
腹が立ったら子供にあたって。
差別することなんて当然で。
そんな家庭誰が望むというんだよ。誰も望まない家庭を、お前らが作ってるって。
父親だとかいう奴にね。「子供が出来たから産んだだけ」って。
こいつは、僕らに愛なんてものはなかった。
一人になってしまうのが怖いから。だから、誰かに構って欲しいから、僕らに引っ付いてるだけ。
母親なんていう奴にね。「子供なんて産まなかったらよかった」って。
じゃあなんで産んだ。産まなければよかったじゃないか。
なんで僕なんて産んだ。自分でもわかってるんだよ、産まれてくるべき人間じゃなかったって。
でもその人間を産んだのはそいつで。
なんで。こんな世界に産まれてくるなら、産まれたくなかったよ、僕だって。
こんな家庭に産まれたくなかった。子供を追い詰める家庭にいたくなかった。
だから死のうとしたのに。上手くいかないから。
愛されることもない、求められることもない、誰かを救うことすら出来ない。能無しで、役立たずの奴を。
なんで、産もうとしたのさ。
11/20/2024, 5:58:36 PM