月影若葉

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『こちらです。2人ともついて来てください。』
ジーニーについて行った先には全身ひび割れで、黒い液を流して俯いている少年…?が居た
テトラは見覚えのあるその少年…?に問いかける
「もしかして…兄さん?」
〈…?〉
彼は顔を上げる
黒い液が顔中を覆っていた
[姿はそっくりだけど、僕が以前見かけた時はこんな姿じゃなかった]
「でも、この人は兄さんだよ。僕、そんな気がるんだ。」
少年はテトラに近付く
〈…テトら゙ぁ、其処ニィ…居るノ?〉
「兄さん!僕だよ、テトラだよ!こコに居るヨ!」
[ちょ、ちょっと…
ジーニーだったよね?テトラもなんか変になってきてるよ]
『ここに長く居ると、こうやって異形の姿に変わるんですよ。かくいう私も、その異形なんですけどね。今はまともに話せていますが、しばらくすればネビルのような話し方に戻りますし、姿も変わってしまいます。貴方は異形化の影響を受けていないようですがね』
[僕もこのままだと彼等みたいになるってこと?]
『いいえ、貴方はそもそも異形化しない体質のようですね。心当たりがあるのでは?』
[…無いって言ったら嘘になっちゃうね。]




〈……やっト落ち着いてきたカも〉
流れ出ていた黒い液がおさまり、顔についてた液も落ちた
「やっパり、ネビル兄さんだったヨ」
〈あれ?テトラ、どうしテこんな所に居るの?ソレに、話し方もチョッと僕に近いかも〉
「兄さんを探すのに、コンな所まで来たんだよ。」
〈そっか…迷惑掛けてゴメンネ〉
「あ、そうだ。紹介したい子がいるンだよね。アンソニーとジーニーだよ。ソウぃえばアンソニーは兄さんと話がしたいッテ言ってたっけ?」
[…そのことなんだけど、やっぱりいいかな。もうここにいれる時間が無さそうだから。後は3人で話してね。それと、僕のことは忘れて。]
アンソニーはその場を去っていった

〈…紹介したい人って、彼のことなのかな?〉
『どうも、ジーニーです。』
〈2人だけでわざわざこんな所まで来たんだね。〉
「え、2人?何言ってるの、3人だよ。」
『いえ、2人でしたよ。テトラ、長旅で疲れているのでは?』
「確かに3人でネビル兄さんを探してたのに…」
〈じゃあ、その人の名前は?〉
「あれ…?思い出せない。ほんとに2人だけだったのかな?というか、ここ何処?」
『〈え?〉』
周りを見渡すと、3人は森の外に居た
ジーニーとネビルの姿は人間の姿になっていた
「…なんでこんな所にいるんだっけ?」
〈分からない…〉
『私もです。』
「帰ろっか。
そういえば、ジーニーは行く宛あるの?」
『元の家がどこか覚えていないので、帰ろうにも帰れませんね。』
〈多分、僕らの家も長いこと空き家になってるだろうから、もうとっくになくなってると思うよ〉
「…とりあえず、どうしよう」
〈どうするって、ホームレス生活するしかないよ。またゴミ漁りとかしないと生きていけないだろうし、仕事見つけるのも大変だろうね。〉
『とりあえず、これから一緒に頑張りましょうね』







アンソニーは元の世界に戻っていた
そして、起こることはないと言われていた異形化が始まっていた
[これ、結構キツイかも。言語障害は起きなさそうだから彼らに比べたらマシなんだろうけど
もう会うことはないし、僕に関する記憶も多分無くなってるだろうけど、彼らにとってはこれが一番良かったのかもね
あ〜あ、またひとりぼっちになっちゃった。]

10/13/2025, 11:38:08 AM