YUYA

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** 「新たな気持ちの始まり」**




夜の静寂が広がる中、カイとリアは山頂で星空を眺めていた。空一面に広がる無数の星たちが、まるで手を伸ばせば届きそうなほど鮮やかに瞬いている。

「星って、不思議だよね。どれだけ遠くても、こうやって輝いてる。」リアがぽつりとつぶやく。彼女の声は風に乗って、優しくカイの耳に届いた。

カイはその言葉を聞きながら、ふと心に違和感を覚えた。最近、彼女の声や笑顔が、妙に心に響く。以前はそんなことを考えもしなかったのに。彼は静かにため息をつき、自分の気持ちを整理しようとしたが、うまくいかない。

ふとリアがこちらを向いて、じっとカイの顔を見つめた。「どうしたの?今日はいつもより静かだね。」

カイは一瞬、言葉を探して黙ったが、やがて視線を星空に戻しながら口を開いた。「…どうしてだろうな。気づいたら、ずっとお前のことを考えてた。」

リアは驚いた表情でカイを見つめ返した。「えっ、私のこと?何かあった?」

カイは頭をかきながら、「いや、別に…お前を見てると、自然に笑顔になれるんだ。それが、俺にとって一番大切なことだって気づいたんだ。」と照れ臭そうに言った。

リアはその言葉に驚き、目を瞬かせた後、少し頬を赤らめた。「そんなふうに言われたの、初めてかも…。ありがとう、カイ。」

カイは目をそらして空を見上げたが、心の中では静かに鼓動が早まっていた。彼女がそばにいることで、自分がどれだけ落ち着いているのか、その理由が今になってようやく分かった。

「自分らしくいられるのは、お前がそばにいるからかもしれない。」カイは思わずそう言ってしまった。今まで言葉にしなかった気持ちが、自然と口をついて出てきた。

リアは驚いたようにカイを見つめていたが、次第に笑顔を浮かべた。「カイがそう思ってくれるなら、私も同じ気持ちかもしれないね。」

カイは彼女の笑顔を見て、さらに心が温かくなるのを感じた。彼は静かに、でも確かな声で言葉を続けた。「お前の笑顔が俺にとって一番の力になるんだ。今まで誰かをこんなに大切に思ったことはなかった。」

その瞬間、リアは何も言わずにカイの肩にそっと寄りかかった。二人は言葉を交わさず、ただ星空を見つめ続けた。風が静かに吹き抜ける中、二人の心は静かに重なり合い、新たな気持ちが芽生えた。

10/5/2024, 3:38:20 PM