未知亜

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『ほんとはずっと嫌だった。きみのそういうとこ』
ㅤメッセージアプリのこちら側。投げつけられた言葉に、頭をガツンと殴られた感じがした。うずくまって固まるあたしは、相手には見えやしない。
”ずっと、って……最初から?”
ㅤ辛うじて絞り出した言葉が震えている。
『楽しいときも、あったよ時々』
ㅤあたしにも時々あったよ、ちょっとだけ嫌なとき。だけどほんとに時々で、ほとんどの時間が楽しかった。
『ごめんね、LINEでこんな話』
ㅤぜんぶ嘘だった。
『でも』
ㅤまた会いたいって言ったのも。あの眩しい笑顔も。
『ずっと考えてたことだから』
ㅤみんな嘘だった。
『もう嘘はつけない』
ㅤそんなのやだよ。嘘ってなに。どうせついてたなら、ずっとずっとついててほしかったよ。
”言ってくれてありがとう”
ㅤこう返すしかないと半分ヤケクソで送った言葉は、一方的に投げられた言葉とタイミングが重なって。
『じゃあ、これで』
ㅤあたしの嘘の言葉だけが、ひとりぼっちのトーク画面にぽつんと残された。


『やさしい嘘』

1/24/2025, 1:01:57 PM