五味川純

Open App

正直

みんなはもう忘れたかもしれない。あんなにも純粋に生きた日々を。アダムとイブは楽しく楽園で暮していました。そこには神さまが丹精こめて育てたリンゴの木がありました。神さまの木だから、リンゴを取ってはいけませんよ、と天使たちから言われていました。しかし、どうしたことか、魔がさしたのかイブが食べてしまいました。恥ずかしくなったイブはアダムに話しました。アダムはイブを愛していたのです。イブの苦しみをかばうかのように、アダムもリンゴを食べました。それから、しばらくたって平静さをとりもどしたのでしよう。良心が責めたのかもしれません。恥ずかしくなって遠くに行くことにしました。さしずめ現代でしたら、お酒でも飲んで忘れたかもしれません。しかし、アダムとイブは真面目な人でした。今から思えば他愛のないことです。そんなに思い詰めることもなかったのです。私はいつか、神さまも分かってくださると思っています。

6/3/2023, 4:52:02 AM