鶴づれ

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窓越しに見えるのは


 ほどよく涼しさが保たれている部屋に、午後の暑い日差しが差し込む。あぁ、もうこんな時間になったのか。

 だるい体を無理矢理起こすと、ベッドのそばの窓から下校中の同級生の姿が見えた。こんなに暑くて気温差も大きいのに、元気で羨ましい。

 私は生まれつき体が弱い。季節の変わり目には絶対に体調を崩すし、真夏の強い日差しも苦手だし、強すぎる冷暖房も無理。特に急に暑くなってくるうえに、容赦なくどこでも冷房をかけるようなこの時期は、学校に行くのだって容易ではない。今日みたいに、すぐヘロヘロになってしまう。

 それでも、そんな最悪な時期にも楽しみなことはある。

「…―!」
 噂をすれば。外から待ち望んだ声がかすかに聞こえた。
 鉛のような体を動かして、窓のほぼ真下を見る。そこには、同じ中学の制服に身を包んだ女の子が立っていた。鞄を背負っていない代わりに、近所のコンビニの袋を持っている。学校が終わって、着替える間も惜しんで来てくれたのかな。

 窓をがらりと開けると、彼女の声がよく聞こえる。
「やっほ!来たよ~っ!」
 私が手を振って返事をすると、彼女は満足そうに笑って、うちの玄関に向かう。

 一階から聞こえた彼女の声で、何かがふわりと軽くなった気がした。

7/1/2023, 1:33:49 PM