霜月 朔(創作)

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変わらないものはない


世の中は、
目紛るしく移り変わる。
その流れに翻弄される、
情けない俺がいる。

この世界で、
変わらないものはない。

人の心は、残酷に姿を変え、
昨日の笑顔が、今日は刃となる。
積み上げてきた、常識さえも、
時の流れに朽ちていき、
脆くも崩れ去っていく。

変わらないと思っていた、
心の奥底に眠る、
お前への想いさえも、
知らぬ間に、
その形を変えていた。

美しく移ろいゆく季節に、
目を細めるお前を見つめながら、
俺の胸の痛みは、
募るばかりだ。

そうだ。この世には、
変わらないものはない。

けれど、
お前への想いだけは違う。
初めてお前と会ったあの日から、
それは、少しずつ膨らみ、
形を変えながらも、
ずっと俺の中で、
息衝いている。

もう、
隠し通すことなど、
出来ないのかも知れない。
それでも、俺は。
お前への想いを、必死に押し隠す。
…決して伝える事は赦されない、
お前への、この想いを。


……………


世の中は、
目まぐるしく移り変わる。
その流れに翻弄される、
哀れな俺がいる。

この世界で、
変わらないものはない。

人の心は表から裏へと裏返り、
優しさは黒い闇に姿を変える。
俺を形作ってきた常識さえ、
気付けば、誰も目もくれない、
時代遅れの残渣なんだ。

変わらないと思い込んでいた、
心の奥底に隠してきた、
君への想いさえも、
知らない間に、
その形を変えていたんだ。

巡り来る季節の欠片に、
目を奪われる君を見つめる度、
俺の胸の軋みは、
益々、強くなるんだ。

そうだ。この世に、
変わらないものはない。

だけど、
君への想いだけは違うんだ。
あの日、君と出会った瞬間から、
それは、少しずつ育って、
形を変えながらも、
ずっと俺の中で、
生き続けているんだ。

もう、
隠し通すことなんて、
出来ないのかも知れない。
それでも、俺は、
この想いを、必死に胸に隠すんだ。
…決して伝えてはいけない、
君への、この想いを。

12/27/2024, 9:05:16 AM