récit

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南国の夏が、北国の秋に恋をしたんだ。

もし彼らが大人だったなら、決して交わることのない恋だと分かって、はじめから諦めてしまっただろうね。

でも、彼らはまだ若かった。
多感な時期で、いろんな想いに揺れ動いていて、このまま中途半端に恋に悩んでいるんだ。

せつないけど、それでいいんだよ。きっとね。

だって、自分の経験からじゃないと分からないことがいっぱいあるんだから。

「秋恋」


☆☆☆☆☆☆☆

その日の僕はモヤモヤした気持ちでいっぱいだった。
見えないものの重さで喉が詰まりそうだった。

そんな気分で部活をサボって学校から帰る途中、通り雨に遭った。

雨は空気の密度を変え、僕の蓄積したモヤモヤは、やわらかくまとめられ整理されていく。

しばらくして雨があがると、心の霧は晴れ軽くなる感覚を覚える。

空を見上げると、虹が弧を描いて浮かび上がっていた。
特別なプレゼントのような気がした。

「通り雨」
☆創作

9/28/2024, 12:22:11 AM