うみ

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 ──生まれて初めて空を見たような。


 婚約指輪が欲しいと先に言ったのは、意外にも向こうからだった。いつ言い出そうかと悩んでいた矢先のことで、ぽかんとしていたら水が降ってきたのを良く覚えている。婚約者に冷水ぶっかける奴いるか? しかも室内とは言え暖かくはない季節に。

 まあ、当時の一悶着は置いといて。
 貴族として、結婚する予定だということを早めに示しておきたいというのが、向こうが言い出してきた理由らしかった。釣り書きが来るのが鬱陶しいと愚痴られたら指輪を作らない手はない。

 あいつの実家御用達のジュエリーショップで、材質から職人に至るまで協議を重ねて(ほとんど見てるだけだった)店側とあいつの口からぽんぽん飛び出す金額に恐れ慄いて(貴族の体面を保つためだと説得された)どうにか形になったのが今の指輪だ。
 

 後日加筆します。

(脳裏)

11/9/2024, 12:59:07 PM