灰燼

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差し込んでくる光で目が覚めた。
部屋を見回して思い出す。
私はあの手を振り払ったんだった。

傷付いた様な顔をしたあの子。
できることならあの日常に戻りたかった。
でも、汚れた手できれいな彼女の手を取るなんてできなくて。陽だまりのように暖かなあの場所に、影を落とすような私が立つなんて、できなくて。
暗く重い雲が、頬を伝った涙を洗い流していった。

6/23/2024, 9:50:02 AM