日の出とともにお前の友人を殺す
多重債務のエロスは処刑を覚悟で王の御前に出た
しかしエロスに向けられた言葉は友人への処刑宣告だった
エロスは理由を尋ねるも王は答えずエロスを見つめ続けた
その時の王の顔はまるでリーチを外したパチカスのようだった
エロスは走った
王に渡すかねを集めるため、友のため
野をこえ山を越え
ただひたすらに地面に頭をこすりつけ
身内や知り合いに微々たる金を恵んでもらい
エロスは走った
あと一人ですべての返済金に届く
そう思って訪れた叔父の家で
エロスの足は折れてしまった
エロスが叔父に頭を下げたところ叔父の逆鱗に触れてしまい持っていた木刀で滅多打ちにされ捨てられたのだった。
エロスは泣いた
泣きながらそれでもエロスは走った
愛のためでも性愛のためでもなく
ただ心から湧き出る何かに突き動かされ
エロスは走った
エロスは転げた
エロスは這った
そしてエロスは角の取れた肉の塊となり王の前に現れた
その肉を見た王の顔には表情が宿り
友人は肉を優しく抱きかかえ涙とともに墓に埋めてやった
1/4/2024, 12:07:50 AM