※物語です
「I love you」
「…へ?」
幼なじみとの帰り道突然放たれたその単語に足を止める。物心ついた時から、いやそれよりも前からずっと一緒にいる幼なじみの恵佑は時々変なことを言う。
彼は何が本気でどんな意図で発言しているのか分からない。もう何年も一緒なのに単純な私は泳がされてしまう。掴みどころがないというか、そんな性格だ。
「って日本語で愛してるじゃん?」
_今度は何を言うかと思ったら
ため息混じりに頷く。
「それって2つの場面で使われるらしいよ」
「んっと、どういうこと?」
突然どうしてそんな話になるのかは謎ではあるが、少し興味深い内容でもあり聞き返した。
「家族に対して日常的に言うI love youと
恋仲の相手に対してI love you
どっちも愛してるって意味だけど込める意味は全然違うでしょ?」
私の顔を覗き込み少し口角をあげる恵佑。切れ長で形の整った瞳が私を捉える。そうかもね、と適当に相槌を打って目を逸らす。
やっぱり恵佑は何を考えているか分からない。
私は無愛想な方で読めないとよく言われるが、恵佑そういう感じでもない。
優しそうに見えて意外とドライで、チャラそうに見えて付き合ったこともない。
そこに魅力を感じる人も多いようだが。
「あおちゃん」
「ん?」
突然名前を呼ばれそれだけ返す。気づいたら私より後ろを歩いていたようだが気にせず進む。
「愛してる」
またいつものかと適当に促そうとした。しかし、後ろを振り返ると少しだけ頬が紅潮した恵佑の姿があった。
「どっちの意味か分かる?」
途端に理解し自分の頬も染まっていくのがわかった。
2/24/2024, 11:52:51 AM