君の髪はお日さまに照らされキラキラ輝いていた。この箱をみるたび君の美しい姿を思い出す。中身を知ることができない、この箱。
出会いは学校の帰り道だった。
私はいつものようにひとりで田んぼ道を歩いていた。ふと、田んぼの真ん中に君が立っているのをみつけた。一体何をしているんだろ?と奇妙に思ったけれど、そこに立つ君の姿があまりにも美しくて、しばしみとれてしまった。しばらくすると君はしゃがみこんで何かを始めた。どうやら土に何かを埋めているようだった。熱心に土を掘る君の背中に向かって、私は思いきって声をかけてみた。君は立ち上がって帽子をとり、こちらを振り向いた。満面の笑みだった。美しかった。土を掘るのをやめた君は、ゆっくりこちらに歩み寄ってきて、黙って私に箱を差し出した。君も箱も泥だらけだったし、とにかくびっくりしたけれど、私は思わず箱を受け取ってしまった。それはずっしりと重かった。
そして、少年は『鍵は隠したんだ』と、ひとことだけつぶやいた。
次の日から私は体調を崩してしまい、1週間ほど学校を休んだ。その間、箱のことがずっと気がかりだった。熱が下がって、久しぶりにその田んぼを通りかかった日、君の姿はなかった。あちこち探してみたけれど、どこにもいなかった。隠した鍵は、田んぼに埋めてあるのだろうと思い、土を掘ってみたが、鍵もどこにもなかった。
君の隠した鍵はいまも見つかっていない。君もどこにも見つからない。
全てが幻だったように思えるけれど、君からもらったこの箱はここにある。
11/25/2025, 2:21:08 AM