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真っ青な青空。大きな羽で悠然と空を翔ぶ鳥を目だけで見送る。今日はとても暑くて身体を起こす気にもなれなかった。頬に伝う汗を緩慢とした仕草で拭い,仕方なしに椅子から腰を浮かせた。凪沙は机の上に重なり頁が折れまくっている教科書をやっとの思いで片付けると充電中のスマホをチラリと見遣った。56%。一先ず50%は貯まった。コードを引っこ抜くとテキストを片手に階下に降りた。炎天下の中に飛び出し,暑いサドルに跨る。垂れる汗をそのままに自転車を飛ばした。空を見上げると窓から見た空より遥かに大きな空が広がっていた。自分が見ている世界はほんの一部分に過ぎないのだ。先程空を翔んだあの鳥はこの何処までも続く空と一体化していた。私も,大きく飛躍したい。何処までも続く空に倣って。
                   

7/2/2023, 4:48:48 AM