/たった一つの希望
恋は踏みにじられて終わった。
ぐしゃぐしゃに轢かれた恋。刻まれた靴跡には私のも君のもあって、だから仕方なかったと思えるし言える。
言えるさ。私が悪い。君も悪い。
きったない終わりだったね。
私は死んだ恋を思い出す。するとその分だけ
読む本が面白くなり、
景色は美しくなった。
他人の愚痴を聞いてやれるようになった。
死んだ恋は死んだままそこにあり、
君の卑怯な映像を浮かばせ、
私のだみ声をたれ流している。
希望があるとすれば、これからも世界は
めくるめく豊かさだということ。
恋を除いて。
3/2/2023, 10:15:47 PM