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「ねえ、君はどんな色が好きなの?」
「青色かな。青空が好きでさ、あの綺麗な色を見てると心が落ち着くんだよね。」
へえー、と自分から聞いてきた癖にあまり興味のない感じがあるから少しイラッときて聞く。
「ていうか、急に何。」
「まあちょっと。」
「はあ?」
答える気がないためこれ以上の問答はやめにすることにし昼休みのチャイムが鳴ったため準備をする事にした。
その一週間後、あいつからメールが届いた。なんでも見せたいものがあるらしい。美術室へ向かうとそこでは
あいつが絵を描いていた。その絵には美しい青空の下で
明るく笑う少女が描かれていた。
 「そ、それ──」
「ああ、君だよ。」
「な、何で?私なのよ。それに背景って」
「好きだろ、青色。これ大会で出すんだ。ごめん断り入れてなかったな。」
「それはいいけど。だから何で私なのよ。」
「ずっと好きだったから。」
衝撃だった。だって今までそんな素振り見せなかったじゃないか。
「これが最後になるんだ。だったらお前を描いて最高の絵にして優秀賞とって告白したかったんだ。だから背景もお前の好きな色にしていいものするために。」
「そうなんだ。」
まったく恥ずかしい事をよくも簡単に言えるもんだ。
まあでも。
「本当にいい絵ね。明るい感じがあるしそれに私の好きな青色も使われてるしね。いい? 私をモデルにしたんだからちゃんと賞取りなさいよ。その後で───」
「その後で?」
「───告白聞くから。」
「ああ、わかった!」
一週間後、その絵は見事優秀賞を受賞した。


『好きな色』

6/22/2023, 10:24:57 AM