アシュリー

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『秋晴れ』

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この日を私は待ちわびていた。いや、なにか特別なイベントがあるわけではないのだが。日本には四季があって、ほとんどの人が四季の好みを持っていると思う。例えば、冬は雪遊びができるから好きだとか、春は花粉症で辛いから嫌いだとか。

単刀直入に言えば、私は夏が嫌いだ。その後の残暑も含めて、夏が好きな方には申し訳ないがとても好きにはなれない。理由は単純に「暑すぎるから」である。温暖化の影響もあって、少なくとも私は夏に出かけるなんて到底できない。なんなら、温暖化で騒がれる前からずっと夏が嫌いだった。
たしかに夏祭り等、楽しいイベントがあるのはわかるし、私もそういうのは好きだ。でも暑すぎて行けたものではないのだ。…まあ一応毎年行くは行くけれど、毎回体調を崩して帰還している。私は暑さに弱い。

ここまで長々と夏に対しての愚痴を連ねていたが、ポジティブなことを挟むと、逆に私は秋が好きだ。なぜなら夏が終わるから!…というのも理由の一つではあるが、食べることは好きだし、読書も好きなので、なんだか私には「秋」が似合うような気がする。
つまり、私は秋の到来(涼しくなった時)を待ちわびていたわけだ。現に、こうして私が外に出れるようになったのだから。

久々に外に出ることが出来た。散歩して景色を見ることが好きなのだが、今までは暑すぎてそもそも散歩どころではなかったのだ。やっと出た外は、秋と言われると少しだけ暑さを感じるものの、夏に比べたら確実に涼しい。狭い道を歩いているので、建物の隙間を吹き抜ける風が冷たくて、とても心地よい。
問題は、建物に挟まれてるおかげで景色らしい景色が見えないことである。空もほとんど見えない。多分、私は少し田舎に住んだ方がいいタイプなのだろう。
景色を見たいなら建物の無い道を選べ、と言われるかもしれない。が、私は近くの道ならどこに行っても自力で帰れることに慢心して、いつも適当に歩いているのだ。どこに行けば何が見れる、等一切考えていない。唯一考えているのは、前歩いた道とは別の道を行くことだけ。…もしかしたら、秋が来たことに舞い上がって変な道を選んでしまったのかもしれない。
しばらく進めば視界が開けることはわかっているので、一旦そのまままっすぐ進んでいく。


やっと視界が開けてきた。
この道には、イチョウの木が車道に沿って植えられている。落ち葉はまだあまりないけれど、ほとんど黄色く色付いていて、改めて秋を感じることができた。
晴れているので、上を向かずとも青い空が広がっている想像はつく…のだが、なにか猛烈な違和感を感じて空を見る。
雲ひとつない快晴。優しい色の青空。視界の奥に向かうほど、白のグラデーションがかかっている。秋に見れる景色の中で、私はこれが一番好きだ。夏には濃い青の空をして、ジリジリとこちらを照りつけてきた天が、秋になった途端、一転して優しさを表す。
私は、秋は「優しさ」の季節だと思っている。考えてみれば、秋と言えば、で想像されるものは、だいたい目に優しい色をしているだろう?

さて、今日は満足出来たので、引き返して家に帰ることにしよう。
次はモミジでも見に行こうか。

10/18/2024, 12:06:46 PM