『ずっと隣で』
昔のことを思い出すと、自分のことを少しだけ別の人のように感じてくる。
今ではしないことやできないこと、逆に今だったらやるのにとか、そういう今の自分と違うところがたくさんあって、そういうところを振り返る度に、今の自分とは違うなと思う。
でも同時に、今と変わらないなと思うところもたくさんあって、やっぱりこれは自分なんだ、好きなところも嫌いなところもあるけれど、浮かんでくるあの景色は、紛れもない自分の記憶なんだと再確認すると、心がキュッとなったり、あったかくなったりする。
例えば、あの時うまく伝えられなかった言葉や、不器用だった振る舞い。思い出すだけで少し俯きたくなるような不格好な日々も、不思議と今の自分を形作る大切な一部になっている。
きっと、過去の自分はどこか遠くへ消えてしまったわけじゃないんだと思う。
目まぐるしく変わっていく景色の中で、新しい自分に何度も上書きされているように見えて、本当はただ、同じ道を少しずつ列をなして一緒に歩いているだけなんだ。
嬉しかったことも楽しかったことも、悔しくて泣いた夜のことも、全部抱えたままの「あの頃の自分」たちが、今の自分のすぐ隣で、静かに寄り添ってくれている。たまにひょっこりと顔を出しては、こうして胸の奥を揺さぶっていくのだ。
だからこれからも、新しい日々の中で迷ったり立ち止まったりした時は、ふと心の中で隣を見てみようと思う。
そこには間違いなく、不器用ながらもここまで歩いてきた自分の確かな足跡と、そっと背中を押してくれる変わらないあたたかさがあるはずだから。
3/13/2026, 4:02:28 PM