るに

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言い出せなかった「 」。
声が喉で突っかかって出ない。
人影のない街中。
イヤホンから流れ出すメロディ。
私の言えない言葉ばかり。
かき消すのは蝉時雨と
風にまとった夏の音。
数時間前までは
木陰がそこにあって
雨が降っていて
蝉なんか鳴いてなかった。
でも今は違う。
消え去った木陰は
泣き止んだ空は
私を置いていってどこかへ行ってしまう。
この声は蝉の泣き声。
私の涙の代わりでしかないけど、
昨日の思いも吐き出せない私は
多分蝉に頼るしかないんだ。
夏の夢に染まっていたかった。
いらない思いを消したって
蝉は泣き止まない。
真夜中はいつも思う。
お願い、どうか、
このまま覚めないで。
"Good Midnight!"
なんて願う私を
夕立が洗い流していく。
知らん世界で一人旅を、
昔から憧れてた夏の世界。

9/4/2025, 4:13:37 PM