最近所謂「良い感じ」の子がいる。同じフロアの村上由希奈ちゃん。自惚れなのは分かってるけど、想いは一緒な筈なんだ。俺だけ違う呼び方だし?これって脈ありですよね?ね?
2月14日。朝から妙にそわそわしてしまう。貰えたらヤベー嬉しいなぁ、なんて考えたり、貰えずにじゃあね、って帰られたらスゲーショックだし。1人百面相してたら隣の井川に笑われた。
「高木、お前何してんの?」
「う、うるせーな」
「ははぁん…由希奈ちゃんか。貰えるとイイねー」
くっそ、妙に勘が良くて腹が立つ。井川にイラついてたらスマホが震える。井川からだ。
内容を見て思わず椅子から落ちた。
「待ってて」
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好きな人がいる。職場の高木雅人さん。最近はちょっとでも距離を詰めたくて「雅人さん」って呼んでる。…本当は「まーくん」って呼んでみたい。2月14日。そう、バレンタインでチョコを渡して想いを伝えるの。お菓子メーカーの策略?恋する乙女は何にでも便乗しちゃうからいいの!
バレンタインの為に何度も練習したチョコブラウニー。おかげで体重は増加しましたが、私はめげない。…明日から頑張るもん。美味しいって思って貰う為には多少の犠牲は…ね。
今日はバレンタイン。包装も頑張って、可愛いリボンつけた。どこからどうみても「本命」。これなら分かってくれるよね。でもどうやって渡そう…仕事中…は無理だし。休憩…いやいや、見られんのはもっと無理!仕事終わってから…しかないよね。雅人さんに時間作って貰わないと…何か井川君と楽しそう…今なら連絡しても平気そう。よしっ!
「雅人さん、今日仕事終わったらちょっと時間欲しいです」
ガタガタッ ?なんだろ、誰か暴れてる…
「いいよ」
やった。「終わったら連絡ください」っと。
退社時間。私の方が早かったからしばらく雅人さんを待つ。あ〜…どうしよ、すっごいドキドキする…。スマホが鳴る。雅人さんからだ
「ごめん、今終わった。ど、どうすれば…」
「今会社の入り口にいます」
「あ、じゃあすぐ向かうよ」
「わかりました」
「ごめんお待たせ。その…何か用事…かな?」
「えっと…雅人さん…今日って何の日か…わかります、よね」
「バレンタイン、だね」
「はい。つまり…その…貰って下さい!わた、わたし、雅人しゃんの事…」
「…マジか」
あ、ヤバい。これ、フラれるやつだ…涙出そう。帰りたい、無理…
「めっちゃ嬉しい」
「…にゃ…??」
「こんな風に言うのズルいかもだけど、さっきの言葉の続き…俺が言うね。俺さ、村上ちゃんの事凄い好きだよ。だから俺と付き合って欲しい」
ぶわって涙が出る。嬉しすぎて涙が止まらなくなった。ウソ、どうしよ、てかわたし今めっちゃブサイク…
べそべそ泣くわたしを雅人さんが優しく抱きしめてくれた。
「村上ちゃん、じゃなくて由希奈って呼んでいい?」
「はい…!わたしも、雅人さんの事、まーくんって呼んでもいいですか?」
「まー…恥ずいけど…由希奈にならいいよ」
無理無理、熱出るってー!
帰宅後
「由希奈、チョコ凄い美味しかったよ。ありがとう」
メッセージ一つに足をバタバタさせてしまう。ニヤけが止まんない…。すっごいしあわせ…
「バレンタイン」
2/14/2023, 11:36:28 AM