私は文学が好きだ。
特に好きなのは芥川 龍之介先生の作品、初めて先生の『地獄変』の小説を読んだ時は心を強く打たれた。繊細な文章は迚も巧みで美しく、私は正に先生は天才だ、と、一つの話を読んだだけで直ぐに痛感した。
何となくで読んでみたその作品をきっかけに、私は文学の素晴らしさを知った。
芥川先生の作品は勿論、江戸川先生の人間椅子や鏡地獄、川端先生の雪国や伊豆の踊子、菊池先生の恩讐の彼方に、太宰先生の人間失格や女生徒、志賀先生の暗夜行路…新思潮派の作品から無頼派、白樺派やプロレタリア文学…様々な先生の本を読み漁ったものだ。
辛くなったら私は本を読む。
楽しいとき、私は本を読む。
本は泣きたい時も、怒りたい時も、常に私の傍にいてくれた。
私はどんな本も愛している。理解できない作品も共感できない作品も、等しく私は好きだ。
それでも、沢山の本を、沢山の先生の本を、何度何度読んでも私の中の一番の作品は何時でも芥川先生の作品だった。
「嗚呼、芥川先生だ…私が愛した、天才作家…」
心底心酔していたのかもしれない。
私は作品を愛した、芥川 龍之介先生と云うその名前を愛した。そして何よりも、作品を通して、芥川先生に恋をした。
蜘蛛の糸、地獄変、河童、或る阿呆の一生、歯車、羅生門、鼻、芋粥…
私は永遠に彼の文学を愛すだろう。
私の好きな本はこの世の全ての文学。
そして、最も愛しているのは、丁度こんな夏の日に旅立たれた素晴らしい作家先生の作品。
お慕いしていると伝えたかったのだけれど、其れは違う時代に生まれた私には不可能なことなのです。
6/15/2024, 3:02:27 PM