『夜空を駆ける』
刹那、真上に輝く一等星を掴める気がしたと
思ったら思い切り下に引っ張られた。
上へ下へ。右へ左へ。目が回る。
怖い怖い怖い。けど楽しい。
いつの間にか叫び声は弾み始める。
だんだんと余裕が出来て全方位に見える星空を掴めるような気がした。
もっと、もっと手を伸ばせば...
座ったままで固定された姿勢で腕をひたすら伸ばす。
ただただ冬の冷たい風を切る感覚だけが手の内に収まる。
どんどんと速度が落ちていく。
あぁ...もう終わってしまうのか...もっと味わいたかった。
風を切る感覚を、星に届きそうだった思いを。
「ご乗車ありがとうございました!
足場にお気をつけてお降り下さい!」
「いやー楽しかったね!」
「最初は怖がってたのに後半すごい楽しそうだったよね(笑)」
「恥ずかしいからやめて!
だってジェットコースター久しぶりだったもん。
しかも夜に乗るなんて初めてだったし...」
語り部シルヴァ
2/21/2025, 2:30:37 PM