駄作製造機

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【きっと明日も】

きっと明日も、同じ1日の始まりなのだ。

そう思った途端、私は突然死にたくなった。

時は18世紀。

帝国主義による植民地支配が強く出始めたこの時、ある小さな1つの国の民が、自殺を企てていた。

『おら!さっさと働かんか!』

『強者に逆らうな弱者が!!お前らは俺たちの手足なんだよ。さっさと従え!』

バシン!

鞭で打たれ、およそ服とは言えぬボロを着て男も女も子供も関係なく荷物を運ばされているのは、列強により支配されてしまったある小さな国の民だった。

『怖いよぉ!お母さん、、』

『大丈夫よ。大丈夫。従っていれば悪いようにはされないからね。』

幼い子供も頬に泥をつけて荷物を運ぶ。

襲われた国側からしたら地獄のような光景だが、今は1人1人が殺されないように波風立たぬよう振る舞うのでやっとであった。

『俺たち、このまま死ぬまで馬車馬のように働かされるのかなぁ。』

『そんなこと言うなよ。口に出したら、、終わりだろ。』

国の民たちの目には、光が灯っていなかった。

もう何もかもを諦めたような顔。

いや、諦めた顔であった。

『、、、』

荷物を運ぶ大勢の民たちの中に紛れて、静かな憤怒を燃やす者もいた。

___________

私の国は今、支配されている。

相手はあの独裁支配で有名な強国。

私の父は早々に降伏し、幽閉された。

きっと近いうちに処刑されるだろう。

国に2人も王はいらないから。

母は幼い頃に病気で亡くしており、私の父は私を逞しく育て上げてくれた。

それが、この小さな国の中だけであったとしても、私は強く育ったことを誇りに思う。

自然がいっぱいのこの国は、今や黒煙が舞う地獄と化した。

森の動物たちは逃げ、不気味に静まり返った静寂だけ。

『明日も同じ労働をしてもらう!もちろん、お前らの働きはただのボランティアだと思え。』

明日も同じ。

『同じ、、』

泥と砂利で傷つけられた自分の手を見つめる。

爪の間に入った石が指を圧迫している。

白いワンピースだったのに、今は初めから黄土色だったかのように泥で汚らしい。

明日はこれよりもっと汚れて、もっと鞭で打たれて、もっと国が堕ちる様をこの目に焼き付けられる。

『同じなら、、死んだ方がいい。』

今までずっと思っていたその一言が、ぬるりと自分の口から出てきた。

そうだね。もう早くお母さんのとこに行ってもいいのかも。

家臣も、騎士も殺された。

この国に未来はない。

私の決断は固まってしまった。

その日、つけていたペンダントを投げ捨てた。

父に謝りながら。

次の日、1人の小国の民が消えた。

だがそれに気づく者はいなかった。

ただ1人1人が、その日を生きるのに必死になっていたからだ。

彼らはまた、明日も同じ労働を続けるのだ。

きっと明日も。その次も。

9/30/2024, 10:54:50 AM