お題『星のかけら』
その夜の空はは流れ星がザアザアと降ってきた。
俺はその星々に強く祈る。
お願いします、どうか、どうか主様が無事でありますように。主様の赤ちゃんが無事でありますように。
その当の主様は、出産真っ只中だった。
俺と旦那様は星々に、ただただ祈りを捧げていた。
お願いします、前の主様のように連れて行かないでください——
「おぎゃあ! おぎゃあ!」
どのくらい祈っただろうか。元気な産声が上がった。
主様の部屋から出てきたルカスさんは旦那様と執事たちに、
「母子共に健やか。かわいい女の子だよ」
前の主様のときには予断も許さない状況だった。今回は無事とのことを知り、俺は膝から崩れ落ちたのだった。
あぁ、聞かれましたか? ***様。あなたのお子様はご無事ですよ。安心してください。
『それはフェネスがいてくれたからよ。ありがとう、愛しの人』
聞くことのないはずの声を、俺には聞こえてきた気がした。
1/9/2025, 1:27:11 PM