回顧録

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テレビではニュースが流れている。
今日がこと座流星群が見られるピークの日なんだそうだ。
道理で彼女がベランダにいる訳だ。

「あ〜んまた言えなかったぁ…」
「何が?」
「ねがいごと!」

次は絶対言い切るんだからと意気込む彼女。
そんな彼女は今年で26歳になる。
純粋でかわいらしいというか、心配というか。
詐欺なんかに引っかからないかしらこの子。
そんなことはさせないが。友人曰く、俺はセコムらしいので。

「淳ちゃんはお願いしないの?」
「無駄なことはしない主義なの。3回なんて無理難題突きつける時点で叶えられないって言ってんのと一緒でしょ」
「その無理難題を超えるからのご褒美でしょ〜?夢がないなぁ淳ちゃんは」
「で?君はどんなご褒美がほしいの?」
「それはぁ………言っちゃったら叶わないでしょ!」
「それ初詣とかのことでしょ。さっき口に出してたでしょうが、俺は聞いてないけど」

それとも、俺に言えないようなことだったり?
いやいやまさか、彼女が俺に隠し事なんて。
全部俺に報告してくれるのに。ここで言っておきたいのは、
俺が把握したいとか、束縛してるとかではない。
むしろそういうのは嫌いだ。
どちらかと言えば、彼女の方が母親に今日あったことを話したがる子どもみたいな感じだ。

「星には言えるのに、俺には言えないの?現実的な願いなら俺に言った方が適していると思うけど」
「う……だって本人なんだもん。『これからも淳ちゃんと一緒にいれますように』ってお願いしてたんだもん!」

ぎゅっと拳を握りしめて声を上げる彼女。かわいい。じゃなくて、だったらなおのこと俺に言う話だ。
彼女と一緒にいるのは星ではなくて俺なのだから。それを継続させるのも俺だ。

「どうせ言うなら、もっと別のお願いにしたら?だってそれは俺が叶えることでしょ?というか、離れる気ないから叶ってるし」

君が俺に飽きるまではだけど、と付け足すと彼女はブンブンと首を横に振った。

「そんなことない!そんな日こない!淳ちゃんがいなきゃ私ダメな子だもん!」
「はは……それはそれで困るんですけど」


『流れ星に願いを』




「一緒、っていったもんな…これで、ずっと叶えられる…ッ」
(流れ星なんかじゃ、叶えられない願い事)


作者の自我コーナー
最後は完全なる蛇足ですね。
めちゃくちゃ彼女が大好きな彼氏(自覚なし)と天然純粋培養彼女。周りが引くぐらいの独占欲を持ってる自覚がない彼と全く気づかない鈍感な彼女です。言動に重さが滲み出てる。

4/26/2024, 3:28:43 AM