夕食を食べた後に一時間ほどの復習を終わらせればウィルは教育係の務めを果たして部屋に帰っていく。
そこから眠るまでの時間がサルサの自由時間となり得るわけであった。
が、サルサはウィルが帰っていくのを見送るタイミングの時にはもう既に眠過ぎて目が閉じかけていた。
「昨日は夜更かしでもしたんですか?」
「……してないです」
その言葉は強い否定の意味を込めていたはずではあったが、彼の眠気は取り繕えるようなとこにはもう既に存在しておらず、随分ふわふわした口調で紡がれた。
「……自由時間を満喫したい気持ちは貴方にもあるかもしれませんが、今日は早く寝るといいですよ」
「そのつもりです……」
視界が半分ほど暗転してるのを無理やり開いてサルサはそう返事した。
「…………おやすみなさい、サルサさん」
そう呟いてウィルが去っていくのを小さく手を振りながら見送ったサルサは見えなくなったのを確認してから扉を閉めた。
大きく欠伸をしながら洗面所へ向かって、やたらすっきりした顔で部屋に戻ってきたサルサは目を見開いてから小さく呟いた。
「……歯磨きしたら目冴えちゃったな」
このところいつもこうであった。歯を磨けば、それまで自分のことを脅かしていたはずの眠気は立ち去ってしまい、もう一度訪れるまで待っていれば夜更かしに強制的に移行してしまう。目が覚めやすい成分が入っているというのは重々承知であり、それが朝一の目覚めをシャッキリさせる目的であることも分かってはいたのだが、眠い夜に目を覚ましていいなんて誰も言ってないんだよなぁ、とサルサは思った。
だが、起きてる訳にもいかない。仕方なく布団に潜って瞳を閉じる。全く眠気が来なくても目は開けないようにする。
……結局サルサが眠れたのは二時頃であり、五時頃に目を覚ますサルサにとって睡眠時間が足りなかったのは言うまでもなかった。
1/24/2025, 4:01:59 AM