白糸馨月

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お題『落ちていく』

 気がつくと俺はどこかで見たことあるコースにいた。
 目の前には小さなモンスターが前後に歩いている。だが、俺はおそらく武器の類を持っていないため、そのモンスターをどかすには飛び越えるか、踏むしかないだろう。その先は崖になっている。向こう岸がちゃんとあることから、それを飛び越えろってことなんだろう。
 ふと、自分の体が動かせるかどうか思い立つ。なんと、動かせない。一抹の恐怖を覚えながら俺の視界の左端に縦型の信号を持ったモンスターが現れた。
 赤い信号が三、二、とカウントされ、一で緑が灯る。「ゴー」の掛け声でようやく俺は体が動かせるようになった。だが、どうやら俺の意思ではない。なにかによって俺の体が操作されているようだ。前へ進み、さきほどいた亀のモンスターが意外と大きいことに気がつく。それをなんとか飛び越える。
 さて、次は崖を飛び越えないといけない。
 先へ進み、天の声らしき女の子の声が「あっ」と聞こえた。
 その瞬間、俺は崖で踏み込めずそのまま落下していく。
「あぁぁぁぁぁ、この下手くそォォォォ!!!!」
 そのまま落ちて、気がつくと最初の位置にいた。
 ふと、右の方に視線を向けると俺と同じ服を着た男のイラストの横に「×2」という文字が浮かんでいて、それが俺の残りの命の残量なんだと思い知る。
(これが夢であってくれ)
 と願っている間にまた例の信号が現れて、カウントを始めた。

11/24/2024, 2:47:23 AM