のねむ

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君の目を見つめると、自分が分からなくなる。






君は、私の事を大切に扱った。まるで、陶器の様に。はたまた、雲の様に。壊れそうだからという理由で。
ふわりと私の肌を撫でるその指先は、冷たくて。私の熱で溶けてしまいそうだった。
私から見たら、君の方がよっぽど壊れやすそうなのに。






人に愛されるためには、人を愛さなければいけない。みんなそう口々に言う。
けれど、それが出来ない私は一体どうすればいいのだろう。人を愛すことが出来ず、人に愛されることも出来ない。心が、それを許してくれないから。
人を愛したいと願う。人に愛されたいと思う。でも、いざ愛すと、いざ愛されると、湧き出てくるものは嫌悪のみ。
それはそれでしょうがないと思った。結局それが私なのだから。


愛は、消耗品だ。
愛は、高級品だ。

私は、愛がアレルギーだった。
愛の真似事をしても、ふとした瞬間にダメになる。脳が理解して、体が拒否を起こす。気持ち悪い。


人を愛す度に、私は愛す権利を失っていく。
人の愛を貰う度に、私は愛される権利を失っていく。









私の手を握る冷たさに目が覚める。

君は隣で笑いながら、愛してるよと言う。
私も笑いを返して、うるさいなと言う。愛を送り返さない言葉にも、君は嬉しそうに笑った。


どれだけ愛しても、愛し返してはくれない私なんかに愛をくれる君に、私は救われている。
君の目を見つめることで、崩れてく自分を保っていた。

4/6/2026, 4:03:46 PM