ソファにもたれなから本を読んでいると、遠くでゴロゴロと雷の音が聞こえた。
こういうのって遠雷と言うんだっけと思っていると、近くにいた姉ちゃんが「ひっ」と短い悲鳴を上げた。
姉ちゃんは昔、近くで雷が落ちた瞬間を目撃してから雷がダメになったらしい。
姉ちゃんはすたすたと部屋から出て廊下のど真ん中、いつもの定位置に座り込む。
そして耳を塞ぎ、顔を膝の間に埋めた。これもいつもの体勢だ。
遠雷程度ならこれで乗り切れるみたいだけど、ゲリラ雷雨になってくると猛ダッシュで寝室へと行き押し入れの中で布団の中に隠れる。
かなり暑いらしく、雷が止んだことを伝えに行くといつも汗だくになっているけど。
僕はそこまで雷に恐怖心は抱いてないけど、姉ちゃんにとってはかなり恐ろしい存在なんだろうと思う。
……でも姉ちゃん、静電気は平気なんだよなあ……
姉ちゃん的にはどうなんだろうと思わなくともないけど、それを聞いてしまったらうだうだ長々と理屈をこねられそうな気がする……
藪をつついて蛇を出すようなことはやめておこう。
僕はそう思い直して本の世界へと戻っていった。
8/23/2025, 3:36:24 PM