浜辺 渚

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「お前、1番好きな天気は?」
「曇りかな」
「ほう。また地味なやつを選んだね。ちなみに、それはどうして?」
「僕に合っているからかな。晴れだとやかましすぎるし、雨だと切なすぎる。僕はそんなにドラマチックじゃない」
「「ドラマチック」か、、でも、曇りっていうのは何かつまらない感じがしないか?俺は朝の天気予報で曇りって言われて、毎回反応に困ってる。この天気で俺はどんな反応を期待されているのかってね」
「君の反応は知らないけど、曇りっていうのもなかなかに良い天気だと僕は思うよ。小説の冒頭で「その日は曇天の空だった」とあったら、何だかただならぬ事件の香りがするだろ?」
「確かに、言われてみればそうかもしれないな。そう考えれば、曇りって言うのは何かの暗示としての役割があるのかもな」
「多分ね。世のミステリー小説の大半は曇り空で始まるだろう」
「間違いないな」

3/23/2025, 4:28:59 PM