Melody

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 一人きりの部屋の中、小さい炎が揺れる。

 この前買ったばかりの灯りが灯ったキャンドルからは、仄かにラベンダーの香りがしてくる。

 香りに満たされる部屋とは反対に、シーマの心はどうしようもない虚無感に満たされる。

 どうせシーマには時間がいくらでもあるのだ。無くならないキャンドルの研究でも始めてみようか。

 そんなことを考えながら、ただただ揺れる炎を見ていた。

 (何だか人ってキャンドルと似てるな)

 不意にそう感じた。

 火が灯っている間はとっても綺麗で、まるでずっと輝き続けているように思てくる。

 しかし、必ず終わりが来て、二度と戻って来る事は無い。

 (あーあ……)

 独りって、こんなに寂しいんだ。




              ーそれからまた数年後、リースと出合い、意味ない研究なんかよりもワクワクな旅が始まることを、シーマはまだ知らない………………


 ーキャンドルー
  シーマ・ガーベレル

11/19/2023, 10:41:21 AM