心躍る
それはホテルで日の出を見たときのこと。
朝の匂いとまだ透明な空気があった。
カーテンからの朝の気配に誘われて、予定より早く起きてみた。眠い目を擦りながら、またぼうっとした頭で勢いよくカーテンを開けた。
目の前には昨夜の暗闇からは想像つかないような澄んだ青い海と、遠くて広い朝の空が輝いていた。
私は思わずベランダに出た。
この美しい景色の空気に触れたかった。
「美しい」素直にそう思った。
美しいと口にしたのはいつぶりだろうか。
いつからか私は美しいと口にしなくなった気がする。
学校に行けば「ヤバい」「すごい」そんな言葉で会話が通じてしまう。
きっと私の生きる日常にも「美しさ」は存在していた。けれど、私はそれに気づけていなかった。
頭の中は常に何かでいっぱいで、もしかしたら単なる背景にしてしまっていたのかもしれない。
それから私は刻々と変化する空模様や季節の香りを感じている。
私たちはいつだって心躍ることが出来る。
試しにちょっと感覚を研ぎ澄ませてみてほしい。
気づかないだけで「心躍る」はどこにでも存在するのだから。
10/9/2024, 5:27:05 PM