Frieden

Open App

「後悔」
今日は豪華二本立てだよ!!!

★o:+゚+:o☆o:+゚+:o★o:+゚+:o☆o:+゚+:o★o:+゚+:o☆
後悔。今までに何度してきただろう。数え出したらきりがない。
生まれてきてから今日に至るまで、人生が無数の後悔で溢れている。

そんなだから、未来に希望なんか持てない。
過去の自分に足を引っ張られ、今の自分が未来の自分の足を引いている。

それが分かっているから、人生なんていつ終わってもいいってずっと思っていた。

だが、あんたが来てから自分も少しずつ変わっているような気がするんだ。無機質だった日常に色が灯って光が差し込んできた、とでも言えばいいんだろうか。

「まあね!!!このグレートでディライトフルなボクが直々に生活指導をしているのだから!!!何にも変わらない方がおかしいのだよ!!!」

自称マッドサイエンティストは自慢げに言う。
……というか宇宙を救うのが目的でここにいるんじゃなかったのか?というかいつの間に生活指導なんてされてたんだ……?

「小さいことは気にしない!!!ボクは宇宙に暮らすキミたちが平和で楽しく過ごしていてほしいのさ!!!だからキミを放ってはおけない!!!それだけだよ!!!」

「過去は……まあ変えられるっちゃ変えられるんだけど、後処理がかなり面倒だからやらない……(小声)変えられないが未来は変えられる!!!」

「キミは今まであまり素敵なジンセイを送れていないようだが!!!これからのジンセイを悔いなく過ごしてもらうためにも!!!ボクが全力でサポートするよ!!!」

「ボクも後悔しないように!!!今から少々どデカい買い物をするよ!!!モッチーロボ(桜餅ヴァージョン)の限定フィギュアだよ!!!羨ましいだろう?!!」

そう言ったが、端末を見たまま固まっている。
「へへ……ボクとしたことが申し込み日付を1日勘違いしていたよ……。」

「それじゃあ、時を戻そう!!!」
やめろ。

「こうなったら自分で作るしかないね!!!さて、プラスチックの原料はどこにあるんだい?!!」

そう易々とは手に入らないだろうな。石油王にでもなれたら別だが。

「とりあえずキミは今から石油王になる努力をしてくれたまえ!!!ボクのためにも!!!」

無茶を言うな!
でも……フィギュアのパーツ探しなら手伝える。
「おお!!!助かるよ!!!」

「それじゃあ、パーツショップにレッツゴー!!!なのだ!!!」

★o:+゚+:o☆o:+゚+:o★o:+゚+:o☆o:+゚+:o★o:+゚+:o☆

以下のデータには特殊技能保持者(公認宇宙管理士)のみアクセス可能です。

ある研究者が遺した最後の手記

どうして、どうして私はあの時彼らを止められなかったのだろう。
因果操作能力のある彼らが「生きていた」時の記憶を全て消して、体を機械に適応させる。

言葉にしたら「ただそれだけのこと」だ。
だが、宇宙管理機能の一部となった彼らの記憶は苦しみから始まり、苦しみで終わる。長く生きることも叶わないまま。

……いや、むしろ苦しみが続かない方が彼らにとっては良いことだったのか?分からない。何も、分からない。

そもそも彼らは道具として生まれてきたわけじゃない!生き物として、幸せに暮らすべきだったのに!

……そんな中、彼女は、⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(検閲済み)はただひとり生きて、宇宙を管理している。いや、出来てしまっている。

私のために、宇宙のために。そう言って身も心もぼろぼろのはずなのに、ひたすら「創られた使命」に身を割いている。

ひび割れた指先も、ひどく傷んだ髪の毛も、はっきり言って見ていられない。

だから私は自分の出来ることをした。彼女の体のケアに機械のメンテナンス。やれることは全てしたつもりでいた。

だが、まだ出来ていないことがひとつある。
君をこの「使命」から解放することだ。

きっと君も私も、いずれ終わりを迎える。こうしているうちにも、その時が刻一刻と近づいているんだ。

せめて君には、苦しむことなく眠ってほしい。
私の自己満足なのは分かっている。
それでも、せめて、せめて彼女だけでも救いたい。

こんなことをしたら私の身だってどうなるかわからない。だがもう最早そんなことはどうだっていい。後悔などない。

⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎(検閲済み)、もし万が一目を覚ましてしまったのなら、せめて自由になってくれ。私のことも、宇宙のことも考えなくていいから。

私は、君を完全な形で解放できなかった。
本当に済まなかった。
何をしても償いにはならないのは分かっている。

ただ美しいまま、安らかに眠り続けてくれることを願って。

さようなら。

5/16/2024, 9:55:43 AM