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"現実逃避"

星も月も寝静まった美しい夜だった
部屋に入る灯りは何も無い

黒に包まれた部屋では全く目が慣れず、エアコンの小さなライトを見つめていた

外から聞こえる虫の声と車の走り去る音だけに耳を傾けてていると、勝手に頭が動き出してしまう

昔の言動や今日の失敗が頭の中を占拠して、顔が歪む
体だけを覆っていた布団をバッと頭まで上げて潜り込む

自らの息遣いと刻む心音を聞いて、自己嫌悪だけが残る

そろっと顔を出し、ベッド横の小さな電気をつける
私は擦り切れたカバーのついた本を手に取った

本の世界に逃げ出した私は瞬く間に引き込まれ、心の奥底に引き摺り下ろされた悩みなどちっぽけなものだと思い込む

ページを繰ってどれほどか経った時、不意に瞼が重くなる

そのまま寝てしまうのを危惧して、ブックマーカーをつけて本を閉じる

そのまま小さな電気は消さずに、柔らかな部屋の中で眠りに落ちた。

2/27/2026, 1:18:46 PM