葉月

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「目が覚めると」

 目が覚めると病院のベッドの上だった。寝ているのではなく、ベッドの上に直立して立っていた。目の前にガシャンガシャンと音を立てて画像が現れた。それは宇宙人の顔写真で、正面向きと横向きが左右セットになっていた。およそ100枚ほど見ただろうか。
 宇宙人の多くは、爬虫類系が圧倒的に多かった。鱗に覆われているものや、蛙のような両生類のような顔立ちが主流で、少数ではあるが昆虫系もいたし、私達のような人間に似ている写真もあった。どれも共通していたのは、頭の大きさで、横向きの写真では、人間よりも大きく後方に突き出たものもあった。目も人間よりも大きな写真もあった。大きいと言っても、顔の表面積に対して比率的に大きいと感じた。もちろん写真では実際の大きさは分からない。最後の一枚は人間で、それが終わると、再び深い眠りがやってきた。
 臨死体験ではない。手術後、三日以上を経過して安定していた。再び目が覚めると、点滴を受けている腕が見えた。夢の中で目が覚める妙な夢だった。


7/10/2023, 12:40:50 PM