haruru

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母がおやつの時間によく焼いてくれるパンケーキ。まんまるな形をした黄金色のふわふわ生地、光を反射してキラキラと輝くメープルシロップ。


僕の苦手な甘いもの。


疑いようのない幸福を笑みによって周囲に撒き散らしながらパンケーキを頬張る妹と、打って変わって浮かない顔でパンケーキをつつく僕。

気を使って半分にされているパンケーキと、足りない量を補うため添えられた惣菜パンの空袋を見つめる。
頭の片隅で母が「残してもいいよ」と言いながら眉を下げた気がしたから、一口だけ齧った。



パートを終え、帰ってきた我が家のリビング。各々が部屋で好きに過ごしているから電気は消えていて薄暗い空間のテーブル上、ラップをされた平皿の上の三日月。

廊下で煌々と輝く電灯の光を反射したそれに出迎えられる。およそひと月に1回、日常の風景。


『三日月』

1/10/2024, 12:03:48 PM