遠くに。できるだけ遠くに。
がたん、ごとん、と揺れる夜の電車の窓から何気なく外を覗く。
真っ暗な空にまばらに散っている星々。
…まるであなたみたいだ。
僕の手が届かないほど遠くに行ってしまったひと。
それでも僕を愛してくれたひと。
だけど僕のほうから手を振り払ってしまったひと。
僕以外誰もいない車両のなか、目を伏せる。
遠くに。できるだけ遠くに。
夜に揺れる電車が僕のこころを置き去りにしたまま、僕をあなたのいない夜に引っ張っていく。
遠く.... #181
2/8/2025, 2:05:50 PM