ピノ

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部屋のチャイムが鳴る。

今日は木曜日。木曜日に僕の家には宗教の勧誘をしに男性がやってくる。神様の言葉を借りて、僕にそれらしい心理を吹き込むが、それを聞くたびにその男性の心からの言葉なのか疑問に思う。

神様はどうして人間を創ったのか。あなた方の目指している幸福とはなんなのか。人に優しいとはどういうことか。神様がそうしろと言われたことに従うことが正しいのか、甚だ疑問に思う。

木曜日以外の曜日、僕は1、2時間ふとんに丸まって、考えに浸る。考えるのは決まって別れてしまった恋人のこと。優しい人間とはなんなのか。どうしたらよかったのか。これからどう生きるのか。そんなとき、誰かの工作した神様に縋っても何も意味がないことに気づく。慰めでしかない。

ひとは1人では生きていけないと言うが、本当にそうなんだろうか。意外とやっていけるものなんじゃないか。こういったことをぐるぐると考えていると、先の見えない大きな一本道をひた歩いているような感覚になる。ゴールがあるようで、実は目の前には途方もない壁が行く手をふさいでいるようにも思える。

同じところをグルグル回っているようでも、今日と昨日で考えていることは違う。180°の転換がある日もある。そう考えると、決まった道を回る迷路ではなく、とても簡単で、ただゴールはとてつもなく遠い、悪ガキの悪戯で作った迷路を歩いているのかもしれない。

今日は水曜日。ふとんから顔を出してデジタル時計を見上げると23:50を表示しながら、僕に曜日と湿度を告げる。
明日は木曜日。あの宗教勧誘の男性がやって来る。明日はもう一人、神の子羊を連れて来るそうだ。僕の部屋は手狭で汚いので、あまり2人も入れたくないんだけどなあ。

心の迷路。このぐるぐるとした考えをたったの4文字にして表現できてしまうのか。でも、そういった簡単な言葉では表せないんだけどなあと、言葉の存在を残念にも思ったりする。

走る。なのか、歩く。なのか、彷徨う。なのか、籠もる。なのか。どう対処したら良いかわからないが、どうにか外に出られたら良いと思う。空から、神様が手を差し伸べてくれないだろうか。なんなら蜘蛛でもいい。

まっすぐ伸びる終わりのない道を迷路と呼ぶこともできるだろう。

11/12/2025, 2:57:02 PM