#65 不完全な僕
かくん、と力が抜け、地面が近づいてくる。
なんとか手をつき、顔を打つのは避けたが。
体を起こす力が足りなかったので、そのまま道外れの草むらに向かって転がった。
仰向けになり、吸い込まれるような青い空を見た。
走り過ぎて痛むほどに上がった呼吸。
今にも飛び出しそうな心臓。
汗で服が張り付いて、とにかく気持ち悪い。
この息が、この鼓動が、代謝が、止まる時。
僕は完全な--になるんだ。
でも、それまでは。
ああ、
どうしようもなく、不完全だ。
僕は、生きている。
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完全=変化がない、不可逆的という解釈。
いやいや不完全な僕って当たり前じゃないか。だって…から始まり。
ウンウン考えて、
生き物が世代交代しながら進化を目指していく限り、完全にはなれず、そして、それが生きている証なんだということにしました。
不変の完全より、
何もかもが移り変わっていく不完全こそを愛したい。(ただし地球温暖化は除く)
ちなみに、生まれたら死ぬまで一直線な人間とは少し違った生き物がいます。
休眠すると耐久性MAXになるクマムシや、
危機的状況下で若返るベニクラゲに、
1000年以上も経って発芽した古代蓮。
気になる方は自由研究だと思って。
8/31/2023, 2:33:01 PM