ななせ

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ここにいるのは二人だけ
一人と一人
他は何にもいらない
お腹がすいたら、木の実を食べる
眠たくなったら、二人身を寄せ瞳を閉じる
暑さも寒さも飢えも乾きも
何も知らない
二人は何も知らない
それが幸せかも知らない
与えられた分だけで、満足するのは幸せか?
知らない
知らない
知らなくて良いと仰ったから
ある時誰かがこう評した
「まるでそれでは家畜のよう」
それでも二人は気にしない
家畜がなにか知らないから
互いがいればそれだけで
ある時誰かがこう聞いた
「お前たちは互いを知っているのか。対はお前をお前は対を、何か知っていることがあるのか。何も知らないのであれば、いつか対やお前が別人になろうと、気付かぬのではないのか」
そこで初めて疑問を持った。
『いやいや真逆、そのようなこと。しかし…さもありなん』
すると相手が恐ろしくなり
一人が一人を絞め殺した
一人はそれを隠したけれど
ある時それにお気付きになられて
一人は追放、二度と戻れぬ夢の国
これにて二人の話は終わり
楽園さえも一時の夢想──

5/1/2024, 6:29:12 AM