月夜
ある月夜のことだった。
悪夢に起こされ、君の寝顔を覗くことにした。
ピンクのルームプレートが微かに揺れ、音を立てた。ドアノブをひねる。
君は、いなかった。
窓が開いていた。
満月が不自然なほど大きく見えた。
肌を柔らかく撫でる風はまだ少し冷たかった。
僕は、回らない頭を殴るようにして無理やり動かした。そのうち、赤いランプとサイレンが僕の意識を占領した。
君が死んだのは満月の夜だけど、僕は月から迎えが来たなんて思わない。
君はたまたま今日死んだだけ。あるのは、昨日までそこにいたという事実だけ。
ただ、月を見ると君が思い出されてしまう。
3/7/2024, 12:04:30 PM