まるで魔法。それは、俺には使えない魔法。「っ、うぅ…、なんで、なんで…っ」 あいつが泣く声が遠くで響く、とある病室の前。 さっき先輩が入っていったところを見てしまった俺は、持ってきた紙袋片手に病室の前に佇むしかできなかった。 はは、と自嘲を漏らして、見上げた茜色の空。 …俺の前じゃ、そんなふうに泣いてくれなかった。魔法 #187
2/24/2025, 1:11:29 AM