いぐあな

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300字小説

女神の像

 船はもうこの星の重力から逃れられないが最悪の事態は避けられた。
 乗務員も移民団も無事。テラフォーミングの機材も全て無事だ。元々、停滞する太陽系に嫌気が差して、飛び出したのだ。『帰れない』はむしろ願ったり叶ったり。
『明日から本格的な開拓事業に取り掛かります』
 ドローンの声に空を見上げる。未知の星の夜。満天の星々が我々を見下ろしていた。

 太陽系外生命体を探して、少しでも可能性のある宙域にワープを繰り返す。そしてとうとう見つけた文明を持つ異星人。何処か地球人の面影があるのは収斂進化か。
「隊長、あれを!」
 部下が指さす。
「彼等曰く、フロンティアの象徴だそうです」
 そこには冠を被り、松明を掲げた女神の像があった。

お題「最悪」

6/6/2024, 11:35:11 AM