今年も夏が来る。
淡い夏の匂い、それは私にとって失われたものの匂い。
ラジオ体操の参加賞が欲しいために早起きした時の匂い、近所の公園へセミを捕まえにいく時に嗅いだ夕立を感じさせる甘く重い匂い、あまり馴染むことができなかった部活のひなびた合宿場の窓を開けた時の埃の匂い、競争相手を蹴落とすために早起きして勉強していた時の鼻が通るような匂い…
それはまったく良かったわけでも、素晴らしかったわけでもないけど、それぞれが日常の匂いとして記憶に残っている。
今年の夏の匂いも思い出すことがあるのだろうか?何にもない夏が?こんなにも息が詰まるような苦しい夏が?
ああ、懐古ばかりしちゃ仕方ないな。
だけど、いつか思い出した時、今日私が過去の夏の香りを思い出した時のような気持ちになれるといいな。恥ずかしがったり、懐かしがったり、笑い飛ばせるようになってるといいな。
7/1/2025, 11:09:41 AM