手のカサつきが季節を思い知らせる。
スーパーで買った焼き芋を手に家路につく。
ふと、懐かしく思う。
庭先に落ち葉を集めた。
パチパチと音を立てて燃える先へアルミに包んだお芋を放る。
軍手で熊手を握るその人はここの家主。
温度に似合わない膝までしかないジャージにサンダル。前髪は鯨のように結って、地毛が現れ始めた金髪。
10歳になったばかりの僕を頻繁に呼んでくれたその人は、友達。歳はいくつ上なのだろうか。
何を交わすでもなく、ただボーッと見つめる揺れは心地よくてあったかい。待ち遠しくて、ずっと終わってほしくなかったな。
「もう、焼けたんじゃね?」
火バサミで差し出されたそれを爪の先でおずおずと開く。
熱かった。それすら甘さと共に噛み締めた。
夕暮れの縁側。
満たされたお腹で、動けない僕をよそに何か思い立った様子のあなた。縁側にサンダルを脱ぎ捨てた。
「こたつ、出すの手伝ってや。」
2人で運んだ。布団をかけて、天板も。
「今度はここで、みかん食べような」
「うん、約束。」
あなたの少し先の予定に僕がいることがとても嬉しかった。
11/6/2025, 4:10:38 PM