"わぁ!"
自分が写っている写真が嫌いだ。
原因は分からない。
引き取られた先で祖父母に延々とあの子に似ていると言われ続けたからかもしれないし、単純に自分が嫌いだからかもしれない。写っている姿が得体の知れないナニカに見えて、気持ち悪い。
作り笑いでも無表情でも、自分が写っていると思うと、"わぁ!"と叫び出したくなる。
学生時代の卒業アルバムは貰ったその日に捨ててしまった。
でも、自分のいない写真は好きだし、写真を撮るのも好きだ。だから手持ちのアルバムは、ほぼ貴女の写真集と化している。
本棚の整理をしていると、昔のアルバムを見つけた。懐かしくなってパラパラめくっていると、最後のページに撮った覚えのない写真が挟まっていた。
以前貴女を待っている時に、いきなり写真を撮られたことがあった。僕に見せないなら、という条件で、渋々残すことを了承したやつだと思う。
手を伸ばした状態で、悪戯っぽく笑ってカメラ目線の貴女と。驚いた顔をして画面に納まる僕が、一緒に写っていた。
どうしようか迷って、結局そのままにしてアルバムを閉じる。
ずるい。
貴女との写真を、僕が捨てられるはずがないじゃないか。
1/26/2025, 2:39:00 PM