「この世界でふたりきり」
多くの人が眠っている時間は落ち着く。
世界でたったひとり。
時計の秒針。
パソコンの稼働音。
キーボードを叩く音。
マウスをクリックする音。
時々聞こえてくる、暴走するバイクの音や救急車のサイレン。
多くの人が勉強したり仕事をしている時間に、雨戸を閉めた部屋で毛布をかぶっている私。
罪悪感に苛まれる昼間。
だけど、私は多くの人が眠っている時間に起きている。
背徳感と優越感の間。
こんな生活、もうやめるべきだとわかっているのに。
彼がログインした音に心臓が跳ねる。
この世界でふたりきりになる時間を手放す覚悟は、まだ出来ない。
────真夜中
5/17/2024, 2:57:53 PM