ろん

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『友達』

高校時代からの付き合いのある友達もいるし、職場で知り合いビジネスを超えて友達になった人もいる。オンラインゲーム友達もいるし、手紙アプリで知り合った海外在住の友達もいる。
行きつけのバーに行けば、よく見知ったいつもの顔がいつもの席に座っている。身も蓋もない、中身もオチもない他人の話に茶々をいれる関係。それもある種、友人だろう。

全て、本当の〝私〟だ。それは間違いない。
だけど全員に同じ顔をしているわけじゃない。

高校からの友人に仕事やキャリアの相談はできない。いや、しようと思えばできる。……けど、結婚や子育てで大変な中で「転職を考えてるんだけどどう思う?」だなんてあまりにも申し訳ない。相手は困るし、きっと「いいと思う!」「頑張って!」みたいなコメントしかしようがないと思う。だから。夫や子供の話の聞き手に回る。

ビジネスから友人になった人にも同じことが言える。仕事の愚痴やキャリアについて相談はしやすい。けど、家での困りごとは相談しにくい。仕事に係る以上、切っても切り捨てられない部分なのだが……。「家族に指定難病の人がいて生活大変で、どうにか楽になれる方法ないですかね」なんて言ったところで困惑するに決まっている。だから会社の悪口と希望を語る。

オンラインゲーム友達や海外の友達に関しては住んでいる地域が違うからそもそもリアルで会うことがない。だから、私がどんな容姿をしているか分からないし、都会と田舎じゃ生活水準が大きく違うから話がかみ合わないこともある。相談の種類は多いが、どれもこれも親身になってはもらえない。「手取り14万なんてありえない!!」なんて言われた日は何も言い返せなかった。

唯一、相談のジャンルを一切気にせず話せるのはバーだ。私が間違っていたら、それはおかしいと意見してくれる人がいる。逆にすごく応援してくれることもある。だけど誰一人として連絡先を知らない。きっとこの先も連絡先を知ることはないだろう。


「あー暇だなぁ」って独り言LINEを送っても大丈夫な友達が欲しかった。
「あー眠たい」っていう他愛ない言葉に返してくれる人が親以外に欲しかった。


2023/10/25――日記

10/26/2023, 12:50:41 AM