みゆき

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紅茶の香り

仄かに苦そうで、熱くて火傷しそうで、
上品なティーカップに入った紅茶は
舌にも身分にも合わない気がしてた。

ふぅっと湯気を飛ばして
新鮮な味をこの人生に刻んだ

苦そうと思ってた。本当に少し苦かった。
火傷しそうと思ってた。本当に火傷した。
想像通り私には合わない味。
作りたてのレモネードの方が美味しい。

それでも、その新鮮さをいいと感じた。
紅茶の香り。それは私に新しさをくれた。

遠い昔のそんなつまらない話を思い出しながら
私は熱い紅茶の入った上品なティーカップに
砂糖を2粒溶かしていた――

10/28/2024, 6:27:20 AM