貸した漫画、案外早く返しに来てくれた。
初めて待ち合わせをした公園で、待ち合わせをした。
他愛も無い話を、途切れず話した。
必死にご飯を食べる鳥を見て笑った。
笑い声に悲しさが入らないように努めた。
あぁここ一緒にお弁当食べたな
すごく褒めてくれた
ここは就職で悩んでる彼が座ってた
あのときは強い言い方をしてしまった
彼の目線が腕を組んで歩くカップルを追っていた。
私の目線が手を繋いで歩く3人の家族を追っていた。
一歩一歩は早くて、公園はあっけないほど狭かった。
車のドアを開けるとき、やっと彼の目が潤んだ。
だけど、笑った。
最後にちょっとカッコつけたんだと思う。
別れ際思いきらないと、すがってしまう気がした。
そんな自分は好きになれなかった
私もカッコつけたかった
彼に見えてるうちは、なるべく振り返らないように楽しげに飛び跳ねるように歩いた。
階段を登り終わったあと、墓場の脇で柵につかまった。
もう終わり。寂しくて清々しい気持ちがした。
後ろに通行人が近づいてくる。
何事もなかったように歩きだすしかなかった。
9/28/2023, 2:27:40 PM